ニンジャスレイヤーTRPGリプレイ ソロアドベンチャー データセンター編


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NM(ニンジャマスター) それじゃあ、『ニンジャスレイヤーTRPG』のセッションを始めよう。
 今回は、2019年1月2日にツイッター上で開催された公式ソロアドベンチャーのシナリオを進めるよ。

プレイヤーB リアルタイムで色んなニンジャがどんどん作られてシナリオを進めて行ってたのは圧巻だったな。
 遅れ馳せながら、こっちでもやってみようって訳だ。

NM ツイッターで開催されたときは、所持品・ジツ・サイバネを使わない簡易ルールだったけど、今回はコアルールを全部使う。シナリオ自体も少し調整するからね。

プレイヤーB 了解。ニンジャは出来てるぜ。

PC−B『ゲンコツギヴァー(Genkotsu giver)』

 カラテ:4   ニューロン:3   ワザマエ:3   ジツ:2(カラテミサイル)

 体力:4   精神力:3   脚力:2   イニシアチブ:3   回避ダイス:4

所持品:オーガニックスシ

プレイヤーB カラテミサイル使いの『ゲンコツギヴァー』だ。能力値は突出して高くはないが、ジツの値が2になったのは上出来かな。

NM キャンペイグンの方はカトン使いで、今度はカラテミサイルか。安定感と火力があって実用的な構成だと思うよ。
 じゃあ早速、セッションを始めるよ。宜しくお願いします。

プレイヤーB 宜しくお願いします。



 重金属酸性雨が降り注ぐツチノコ・ストリート。デスシャドウ・ヤクザクランのデータセンターが、その一角の雑居ビル内に存在していた。

 物陰からそのデータセンターを伺う、細い胴縁の眼鏡を掛けた紺のスーツ姿の男。
 簡素ではあるが身なりの整ったその姿は、かつての彼の姿。しかし、今は仮の姿だ。

 今の彼の名は『ゲンコツギヴァー』。彼は……ニンジャだった。

NM ソウカイ・シンジケート所属のニンジャであるゲンコツギヴァーは、シックスゲイツであるソニックブームからの命令を受けてこの場にいる。
 今回の任務は、このデータセンターに忍び込んでUNIXをハッキングし、コケシマート社の未公開株件を奪い取ってくる事だ。

 ゲンコツギヴァーの脳裏に、在りし日の光景が浮かぶ。

 高等学校の物理学教諭として勤務し、忙殺されながらも充実していた日々。そして……。
 あの日。授業中の教室にギャングの集団が乱入し、ただの人間としての存在に強制的に終止符を打たれた、あのとき。

 死んだはずの身体を動かし、ギャング共の頭を拳で粉砕し。教え子達の亡骸で満ちた教室から、騒然とする学校から逃げ出して。
 自分がニンジャとなって超人的な力を得た事を認識したのは、その少し後の事だった。

 それから彼は、ギャング、ヨタモノ、ヤクザ、目に付く限りのあらゆる『悪人』共に制裁の拳を下し、粉砕して来た。
 自分は、善良な人々を悪人による理不尽な暴力から守る為に戦う機会を与えられたのだと思っていた。

 その行いもまた『理不尽な暴力』である事に気付く事が出来れば、自分は留まる事が出来ただろうか……。

プレイヤーB→ゲンコツギヴァー ソロシナリオの内容は知ってるけど、取り敢えず進行して貰おうかな。

NM オーライ。まあ、元々ツイッターで進行されていたセッションだからね。流れは一方通行で単純なものだよ。
 こっちでシーンを進めて行くから、判定して貰って、その結果を踏まえて次のシーンに進むって手順を繰り返す感じだ。

 IRC端末の受信表示に気付き、ゲンコツギヴァーはハッと我に帰った。無意味なもの思いを中断し、端末を操作して通信を確認する。
《オッセーゾコラー!》
 画面に表示される罵声。送り主は、ソウカイ・シンジケート、シックスゲイツの1人、ソニックブーム。
 今回の任務の命令者であり……。ゲンコツギヴァーをソウカイ・シンジケートに引き込んだ張本人でもある。

 自らの力を過信し殴り掛かったゲンコツギヴァーを、ソニックブームは返り討ちにして叩きのめし、死か恭順かの2択を突き付け、従えたのだった。

《命令を無視してフケるたあ良い度胸だなあ。スッゾコラー!》
 IRC越しの威圧に気圧されるゲンコツギヴァー。一刻も早く返信せねば、命がアブナイ!
《違う……! マッポが巡回していて、すぐに取れなかった》
 咄嗟の言い逃れではあるが、全くの嘘ではない。この場を訪れる途中、マッポの巡回を目にしたのは確かだ。
《現場には着いた。マッポが充分に離れるタイミングを計って、任務を遂行する》
 畳みかける様に追伸を送り、かたずを飲んで反応を待つ。
《……さっさとしやがれ。グズ野郎が》
 通信の切れた画面をしばらく凝視し、それからゲンコツギヴァーは息をついた。何とか追及は逃れ、この場を任されたようだ。

 ヤクザの顔色を伺いながら唯々諾々と命令に従う己の立場がつくづく情けない。しかし、今のゲンコツギヴァーにそれ以外のやり様は残っていない。
 標的もヤクザだ。ぶちのめしても構わない奴らが相手だ。ゲンコツギヴァーは自らに言い聞かせ、任務に集中した。



NM さて、データセンターの入り口前には、クローンヤクザが1体ショットガンを構えて警戒している。
 その物々しい武装を見て、君はターゲットが間違いなくここで守られているものと判断するだろう。しかし、それを手に入れるためにはまずこの見張りを排除する必要がある。
 加えて、現在位置からは少々距離がある為、如何にニンジャとは言えショットガンが火を噴く前にカラテを振るう事は出来そうにない。

ゲンコツギヴァー スリケンで仕留めれば良いって事だよな。早速行くぜ。[235]危なっかしいが1個成功だ。

NM お見事。ゲンコツギヴァーのスリケンはクローンヤクザを仕留め、侵入を試みる事が出来る様になった。

「……よし、取り掛かるか」
 マッポの巡回を思い描きタイミングを計り、ゲンコツギヴァーは動き出した。その姿は、先程とはまるで異なるものに変化している。

 黒袴に赤銅色の武道着。左右の下腕を覆うレザー質のブレーサー。口元を隠す黒いマフラー状のメンポと額に巻かれた白い鉢巻が、動きに合わせて緩やかになびく。
 これこそ、ゲンコツギヴァーが自らの能力によって生成したニンジャ装束。彼の現在の真の姿である。

 指先を擦り合わせる様に動かすと、そこに1枚のスリケンが生成された。
 シャープな先端を均等な角度で3方向に伸ばしたトライエッジ・スリケン。ゲンコツギヴァーは狙いを定め、静かに、投げる。

「グワーッ!」
 スリケンは過たずクローンヤクザの喉笛を切り裂き、緑色のバイオ血液を撒き散らす。
 ゲンコツギヴァーはザンシンを取ったまま、絶命し倒れ伏したクローンヤクザに目を向け、それから周囲の気配を探る。

「……他の見張りはいないようだな。中に入らせてもらおう」
 ゲンコツギヴァーは姿を現し、入り口を閉ざすドアへと歩み寄った。



NM 入り口前に立ったゲンコツギヴァーだが、ドアには当然ながら鍵が掛かっている。ドアを開ける為、幾つかの方法を思い描くだろう。
 力尽くでドアを破壊するなら、カラテで目標値5。物理的に解錠するなら、ワザマエで目標値4。ハッキングで開けるなら、ニューロンで目標値3だ。

ゲンコツギヴァー 能力値は似たり寄ったり。となると、素直に目標値の低い手段で解決だ。
 ドアをハッキングする。ニューロンで[125]成功。さっきから出目が不安だな……。

NM 成功しているんだから、申し分無しだろ。ゲンコツギヴァーは首尾良くドアをハッキングしてロックを解除。データセンターへの侵入を果たす。



NM さて、データセンターに侵入し、目的のUNIXルームに辿り着いたゲンコツギヴァー。
 ハッキングターゲットであるUNIXが並んでいるが……。そこには警備のスモトリヤクザもいた。君の姿を見て襲い掛かって来るだろう。

ゲンコツギヴァー 元々のシナリオだとクローンヤクザだったのが、ちょっと強化されたか。
 こっちの攻撃からで良いんだな? カラテで[1356]2個成功。

NM スモトリヤクザはボス級の敵ではないので回避出来ない。1ダメージ。
 まだまだ動けるから反撃だ。[144]2個成功。

ゲンコツギヴァー 回避は[1346]2個成功。カウンターカラテは出来ずか。
 じゃあもう一気に決める。後ろに2マス移動して、カラテミサイルだ。[22236]成功。

NM カラテミサイルは命中して3ダメージ。見事、スモトリヤクザの身体を砕いて無力化した。
 戦闘終了。障害を排除し、ターゲットの奪取を試みる事が出来る。

「ドッソイ!」
 UNIXルームに辿り着いたゲンコツギヴァーは、警備を担うスモトリヤクザと対峙した。
「まだいたか。ならば排除するまで」
 襲い掛かるスモトリヤクザに対し、ゲンコツギヴァーは拳を作り、カラテを構える。
「ゲンコツ! イヤーッ!」
「グワーッ!」
 ゲンコツギヴァーのストレートはスモトリヤクザの上体を見事に捉えた。しかし、スモトリヤクザを止める事は出来ない。
「ドッソイオラー!」
 スモトリヤクザの丸太の様な腕が唸りを上げる。ハリテ・ブローだ!
「ヌウッ!」
 ゲンコツギヴァーはバックステップで回避。

 スモトリヤクザの頑丈さ加減に辟易し、状況判断する。
 このまま打ち合っていては時間がかかる。何より、下手な動きをされて大きな騒ぎになっては拙い。

 ならば、一気に打ち倒すのが最善だ!
 ゲンコツギヴァーは広いスタンスで床を踏みしめ、自らの左掌に右拳を打ち付けた。そして、拳にカラテを集中させる。

「ゲ! ン! コ! ツ……!」
 カラテを帯び、淡い光を放ち始める拳。ゲンコツギヴァーは腰だめに構え、正拳突きの体勢を取る。
「ハッキョーホー!」
 スモトリヤクザは、間合いが空いたのを良い事に、突進の構えに入った。しかし、もう遅い!
「イヤーッ!」
 真っ直ぐに、射貫く様に、鋭く放たれた正拳突き。ゲンコツギヴァーの拳から眩い光弾が飛び立ち、スモトリヤクザを捉える!
「アバーッ!」
 胸板を砕かれ、心臓を潰され、血を吐きながら吹き飛ぶスモトリヤクザ。騒々しい物音を立てながら壁に、そして床に激突し、倒れ伏す。

 そして、UNIXルームは静かになった。

NM あ、そうだ。スモトリヤクザの死体から万札2を入手出来るよ。

ゲンコツギヴァー 了解。貰っておこう。



NM じゃあ、あとはハッキングしてターゲットを奪えば任務完了。セッション終了となる。

ゲンコツギヴァー UNIXにIRC端末を接続して、ハッキングを開始するぜ。

NM 了解。ではUNIXにアクセスして、データの在り処を探る。その結果、2つの選択肢を見出す事が出来るだろう。
 1つは、任務の通り未公開株券データを狙ってハッキング。ニューロンで目標値4。
 もう1つは、株券データを盗むだけでなく、ヤクザクランの銀行口座そのものを狙ってハッキングだ。同じくニューロンで、こちらだと目標値6。
 勿論、後者の方が大きな報酬を見込める。

ゲンコツギヴァー うーん……。ニューロンは3だし、普通に株券データを狙う。[246]おっ6が出た。
 チャレンジしても行けたみたいだが、まあ良いや。普通に成功だぜ。

NM はい。ハッキングが成功した所で、ゲンコツギヴァーは遠くからのサイレンの音を聞く。もはや用事は無い。速やかにその場を去るだろう。
 文句無しの出来栄えで任務をこなし、シナリオ終了だ。



NM では報酬だ。目標の未公開株券データを奪取したゲンコツギヴァーは、万札10の報酬を得る。

ゲンコツギヴァー→プレイヤーB スモトリヤクザの分と合わせて万札12か。ふわふわローンも無いし、まずまずの結果だな。

NM 判定失敗も無く、スムーズにシナリオを進めて行けたね。能力値のバランスが良くて、安定感があった。

プレイヤーB まあな。しかし、1個だけ成功であとは1とか2とかいうのが多くて、なかなかハラハラした。
 カラテミサイルが綺麗に決まらなかったらどうしようかと思ったぜ。

NM 流石、ジツ2のカラテミサイルは強力だね。避けなくて耐久力のある相手には打って付けだったじゃないか。

プレイヤーB ニンジャ相手だとどうにも使いにくいがな。ジツを活用したいならニューロンを上げたいけど、先制すると回避され易いからな。
 キャンペイグンでも、プレイヤーAが使い所に悩んでるだろ。

NM あー、そうだね……。これまで雑魚散らしにしか使ってないし。まあ、それはまたセッションで考えよう。
 じゃあ、今回はここまで。有り難うございました。

プレイヤーB 有り難うございました。

PC−B『ゲンコツギヴァー(Genkotsu giver)』

 カラテ:4   ニューロン:3   ワザマエ:3   ジツ:2(カラテミサイル)

 体力:4   精神力:3   脚力:2   イニシアチブ:3   回避ダイス:4

所持品:オーガニックスシ   万札12

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