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シャドウランリプレイ 影駆ける戦鬼 第5話準備編



GM(P) では、再開と行きましょう。
 依頼を請けてから事件現場の調査をしていた皆さんは、その過程でグールの襲撃に遭い、見事それを撃退しました。

視以亜(玲子) その際に、マールの機転で逃げるグールを追跡し、その逃亡先を突き止めた、って所ね。

マール(まなみ) グールは死体を運び去る為のビニールシートを持っていました。今回の事件に直接関わりがある可能性が高いと思います。

凰雅(舞) そうね。やる事は決まっているわ。まず、マールに場所を教えてもらって、踏み込む所からね。

GM そうですね。では、クライマックスまでの過程を進めて行きましょうか。
 ええっと。凰雅と視以亜は襲撃現場から少し離れた場所で待機しています。そして、アストラル界から自分の身体に戻ったマールが、車から出て来る事でしょう。

「マールさん」
 愛車のドアが開く音に目を向け、視以亜は車から出て来るマールに歩み寄って迎えた。
「お疲れ様。分かった?」
 ねぎらいの声を掛けつつ、ポケットセクレタリーを差し出す視以亜。そのディスプレイには、この周辺の地図が映し出されている。
「ここをこう行って……。あれ? こんな建物無かったはず……」
「気にしないで。目的地だけ教えて」
 地図を指で辿るマール。時折、地図と現実との差異に困惑しつつ、グールが逃げ込んだ建物を特定する。
「ここ、で間違いないわね?」
「はい」
 最終的にマールが指差した場所。そこは、地図の上では古いゲームセンターという事になっていた。

GM では、目的地が分かった所で急行する訳ですが、倒壊した建物や瓦礫の散らばった道路を縫ってスムーズに移動する為には、多少の土地勘を必要とするでしょう。
 各自、『礼儀作法(ストリート)』技能でテストを行って下さい。目標値は6です。

凰雅(舞) 私が1個成功。2人は失敗したみたいね。

GM では、凰雅のバイクが視以亜の車を先導し、目的地に移動します。通行困難な場所を避けた巧みなルート選択によって、皆さんは何事も無く辿り着きました。
 少し離れた場所でそれぞれの車両を隠蔽し、目的の建物へと向かいます。

視以亜(玲子) その建物になるべく近い所で、隠れられそうな所は無いかしら?

GM そうですね……。隣に、もとは家屋であったであろう、四角い壁が建ってます。
 目を向ければ、何者もいない事が見て取れるでしょう。

凰雅(舞) 一旦そこに隠れて様子見。何も無ければ突入ね。ショットガンにスラッグ弾を詰めて、構えているわ。

 3人は、目的の建物の隣にある半壊した家屋に身を潜めて周囲の様子を伺う。
 特に動きが無い事を確認し、視以亜はマールに合図を出す。そして、マールは呪文を唱え始めた。

マール(まなみ) では、《千里眼(クレアボイアンス)》の呪文を使います。
 マジックプールを全部使って(ザラザラ)3個成功です。ドレインは(コロコロ)ありません。

GM そうすると、マールは自身から18メートル先を自由に見る事が出来るので、目的の建物の内部も全て見渡す事が出来ます。

凰雅(舞) フォース1なのに便利ねー。

GM 効果に魔力が関わる呪文ですからね。
 ……さて、内部の様子ですが、情報通り元々はゲームセンターだったようで、床には壊れたゲーム筐体やらメダル箱やらのガラクタが転がっており、雑然としています。

 その場所の異様さは、一目で見て取れた。
 床や、そこに転がるガラクタに荒く飛び散った血、布の切れ端、そして……僅かな肉片。
 そこから点々と続く血の跡を辿ると、恐らくトイレだったのであろう小部屋。その床のマンホール。下は下水だろうか。

 マールは不快なおぞ気を覚えつつも、肝心な目的の為に魔法の視線を動かす。
 それはすぐに見付かった。
 鉈を抱え、物陰で震えながら出入り口を注視するグール。先程追い払ったものと同一の個体に違いない。そして、他に生物らしき存在は無さそうだった。

「アイツには、もう僕の力は及んでいないよ。あの中は、僕の領域じゃあないからね」
 召喚中の都市精霊が、アストラル空間からマールに告げる。
「……分かりました。もう大丈夫です。お世話になりました」
 マールは都市精霊を解放し、そして呪文の集中を解いた。

「今、中にいるのは、さっきのグールが1体だけです。あの建物は、グール達の住処に違いありません」
 マールはチームメンバーの2人に報告を行った。

 都市精霊が力を及ぼす事が出来ないという事は、あの建物は住居精霊の領域。
 即ち、グールはたまたまここに逃げ込んだのではなく、継続して居住しているという事だ。

凰雅(舞) じゃあ、突撃しましょうか。そうそう、ドアはあるの?

GM ドアはありますが、壊れかけているので鍵が掛かるような状態ではありません。押しても引いても開きます。

 建物の構造と内部の様子、そして標的の位置を聞いた凰雅は、ショットガンを構えて駆け出した。
 最初は足音を忍ばせ、小刻みに。そして、目前で大きなストライドで足を踏み鳴らし、ドアを蹴り開ける。

「おおおお……!」
 雄叫びを上げて踏み込み、事前に知らされた場所へ銃を向ける凰雅。
 そこには、驚愕と恐怖に跳ね上がりつつも、手にした鉈を振り上げようとするグールの姿があった。

GM 一応、イニシアティブを振ってみましょうか。(コロコロ)……5ですね。死んだなこれは。

凰雅(舞)(コロコロ)あら、調子が良いわね。26よ。

GM じゃあ、ドアを蹴り開けるのに『通常動作』を1つ使って下さい。あとは好きなだけ撃ってもらって結構です。
 近距離で4、低光量(低光量補正)で+4、凰雅は走っていたので+4、グールは静止しているので-1、スマートリンクで-2。合計で9です。

凰雅(舞) このフェイズは『狙いをつける』動作に使うわ。そして、次のフェイズ16でもう1回『狙いをつける』。で、1回射撃よ。
 私は立ち止まっているから、走っていた分の修正が消えて5。2回狙いを付けて-2の目標値3で良いわね?

GM オッケーです。どうぞ。

凰雅(舞) コンバットプールを5個使って10個。行くわよ。(ザラザラ)8個成功。

GM 全部成功しても9個。前回の戦闘で重傷を負っていたので、どうあっても死にますね。グールは致命傷を負って吹き飛びました。

凰雅(舞) ざっと見回して、動くものが無い様ならみんなに手招きするわ。

視以亜(玲子) 周囲を見回してから、中に入りましょう。「マールさん、明かりは点けないでおいて」と声を掛けて、低光量ゴーグルを使うわ。

マール(まなみ) あ、分かりました。では『アストラル知覚』をして、中に入ります。

GM そうすると、視野は低光量のままなので、凰雅と視以亜は+4。アストラルではマールと視以亜のオーラが明るく輝いているので、マールの視界は良好です。
 ただし、『アストラル知覚』中のマールは、アストラル空間と関係無い行動に+2の修正が加わります。

マール(まなみ) そのまま『低光量』でものを見ると+6ですから、それに比べると相当な好条件ですね。魔法を使うときには修正がありませんし。

「これで、問題解決かしらね?」
「どうでしょう。もう少し調べてみないと……あ、血液には触らない様に気を付けて下さい」
 凰雅の問い掛けに対し返答を保留しつつ、視以亜は医療キットからビニール手袋を取り出し、配付した。

「グール達が、殺した人達をここに運んで『食事』をしていた事には間違いなさそうね。そして、『生ゴミ』は下水に流して処理していた……」
 一通りの探索を行い、手持ちのマイクロカムコーダーで幾ばくかの画像を撮り、視以亜は呟いた。
「ひとまず、判断を仰ぎましょうか」
 ポケットセクレタリーを取り出し、依頼主の弩明田組に連絡を取ろうとした、そのとき。

「何か来る……! 隠れて!」
 凰雅の声。ひそやかに抑えながらも鋭い警告に、視以亜は、そしてマールも、反射的に身を隠した。

 ゆっくりした足音と、何かがきしむ様な、微かな音。

 これまで事件を追って来たシャドウランナー達には、容易に想像が付いた。
 ビニールシートに納めた死体を背負った何者かが、この廃ゲームセンターに近付いているのだ。

GM では、一旦休憩しましょう。あとは、クライマックスの戦闘を残すのみです。

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